歯の豆知識

むし歯の洪水時代とは?

昔は子どもの虫歯が非常に多かった時代がありました。今と昔と何が違うのでしょう?

その理由をトリートメントコーディネーターの川村が説明します🥸

かつて日本では、子どものむし歯が非常に多く、「乳歯むし歯の洪水」とまで言われた時代がありました。特に1970年代は、乳歯のむし歯が急増し、多くの子どもたちが治療を必要としていました。

当時の治療方法は、まるで「モグラ叩きゲーム」のようでした。むし歯が見つかるたびに削って詰め物をするという繰り返し。しかし、これでは根本的な解決にはならず、同じ歯が何度もむし歯になることが多かったのです👿🦷

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例えば、ある4歳児の口腔内の写真を見てみると、1970年代に撮影されたものでは、ほぼすべての乳歯がむし歯になっており、銀色の詰め物が目立ちます。

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一方で、現在の4歳児の口腔内は、歯が白く、健康的な状態です。この対比を見ると、当時のむし歯の深刻さがよく分かります😟

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むし歯の多かった原因

では、なぜ1970年代はこんなにも子どもたちのむし歯が多かったのでしょうか?🧐

主な原因として☝️

① 食生活の変化

高度経済成長期を迎え、日本の食生活は急激に変化しました。特に、砂糖を多く含むお菓子やジュースの消費が増加し、それが乳歯のむし歯を引き起こす大きな要因となりました。

3歳くらいの幼児が常にドロップを口に入れていたり、小学生が学校帰りに自動販売機で炭酸飲料などを買い飲んでいる光景を頻繁に目にすることが多かったそうです💦

② 歯みがき習慣の不足

当時は「乳歯はいずれ抜けるから大丈夫」という考えが一般的で、乳歯のケアが十分にされていませんでした。そのため、歯みがきの習慣が確立されておらず、結果としてむし歯が増えていきました。

③ フッ素の使用が普及していなかった

現在では、フッ素入り歯磨き粉やフッ素塗布が一般的ですが、1970年代はまだフッ素の使用が広まっていませんでした。そのため、歯の再石灰化が進まず、むし歯になりやすかったのです

では、むし歯は進行するとどうなるのでしょうか?🧐

むし歯は進行すると、単に歯が痛むだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。特に、乳歯のむし歯がひどい場合、永久歯が生えてくる際にも問題が生じることがあります。

乳歯のむし歯と永久歯はどんな関係があるの?

データによると、歳児のむし歯の本数が多いほど、永久歯のむし歯の本数も増える傾向にあります。例えば、3歳の時点でむし歯が0本だった子どもは、12歳の時点でもむし歯の本数が少ないですが、3歳で9本以上むし歯があった子どもは、12歳でもむし歯が7本以上あるというデータがあります(図1参照)

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現在、日本では子どものむし歯が大幅に減少しています。その背景には、以下のような取り組みがあります。

① 予防歯科の普及

過去の「見つけて治す」治療から、「予防する」治療へと考え方が変わりました。例えば、定期的な歯科検診を受けることで、むし歯ができる前に対策を取ることが可能になりました。

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② フッ素の活用

フッ素入り歯磨き粉の使用や歯科医院でのフッ素塗布が普及したことで、歯の再石灰化が促進され、むし歯になりにくくなりました。

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③ 食生活の改善

おやつは時間を決めて食べる」「寝る前に甘いものを食べない」といった指導が行われるようになり、砂糖の摂取量が管理されるようになりました。

④ 正しい歯みがき習慣の指導

保護者への指導を含め、子どもたちが正しい歯みがきを身につけるための教育が進められています。

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予防の取り組みをした結果、過去と現在のむし歯の発生率を比較すると、その成果がはっきりと分かります。

例えば、1975年の時点では、3歳児の82.1%がむし歯にかかっており、1人あたりのむし歯の本数は5.98本でした。しかし2022年には3歳児のむし歯の罹患率は25%まで低下し、1人あたりのむし歯の本数も0.63本に減少しました(図5参照)。

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これは、予防歯科の普及やフッ素の使用が効果を発揮した結果と考えられます。

むし歯は確実に減少してきましたが、完全になくなったわけではありません。特に、家庭でのケアが不十分な場合や、食生活の乱れがある場合は、むし歯のリスクが高まります。

これからの目標は、「むし歯ゼロ」の子どもを増やすこと。そのために、以下のような対策がさらに求められます。
1. 乳幼児期からのフッ素習慣の徹底
2. 定期検診を当たり前にする
3. 親子での歯みがき習慣の定着
4. むし歯になりにくい食生活の普及

これらを徹底することで、将来的に「むし歯のない社会」を実現することが可能になるでしょう。

✨まとめ✨

日本ではかつて、子どものむし歯が非常に多い時代がありました。しかし、予防歯科の進歩やフッ素の普及により、現在ではむし歯の発生率が大幅に減少しています。

むし歯を防ぐためには、正しい知識を持ち、日々のケアを欠かさないことが重要です。子どもたちの健康な歯を守るために、今後も予防を継続していくことが求められます。

当院にはむし歯0を目標にして立ち上げた「オチKIDS」という予防クラブがあります。

小さいうちから予防の正しい知識を身につけて家族でむし歯予防に取り組み、虫歯を作らないようにしていきましょう😊💕