滅菌について
私自身が治療を受けるなら、私の家族に治療をするなら、医院のスタッフに治療をするなら、落合歯科医院では器具の滅菌 消毒に関してこのように考えて設備を整え、正しい知識を持ち院内感染防止を取り組んでいます。
滅菌・消毒を徹底すること、それは医療としてのモラルです。
「わからないから、見えないから、いままで問題が起きてないのだからいいんじゃないの。」
という考えでは、なしえません。
何のために滅菌・消毒を徹底するのか。 ここをしっかり医院のスタッフ全員が認識していなければ、できない事なのです。もちろん これは患者様への安心 安全な治療を提供するためです。
滅菌 消毒 これらの意味をご存知でしょうか。
滅菌とは 有害・無害を問わず、対象物に存在しているすべての微生物およびウイルスを死滅させるか除去することである。
消毒とは対象物に存在している病原性のある微生物を、その対象物を使用しても害のない程度まで減らすことである。
最近除菌という言葉をよく聞きますが、この除菌という言葉は、対象物から菌を除いて減らすことである。手を水で洗うことから、ろ過などにより菌を取り除くなど、様々な程度の範囲がある。対象や程度を含まない概念である。 何となくいい加減な、ゆるい概念ですね。 歯科医院の現場にはあまり関係のない言葉かもしれません。
当医院では、スタンダードプリコーション(標準予防策)にもとづいて治療にあたっています。
スタンダードプリコーションとは推定される感染病態にかかわらず、すべての人びとの血液・体液・排泄物・皮膚・粘膜は感染源となりえる可能性があるものとして取り扱う。
これにより、医療従事者の保護だけでなく、患者間あるいは医療従事者を介した交差感染防止を目的としています。
この考えに当てはまる滅菌・消毒・取扱いを徹底しているのです。
歯科ではすべての患者さまに血液検査を行うことはありません。それゆえ患者様自身の問診時の申告により疾病を把握するしかありません。もちろん患者様自身が自覚していなかったり、隠してしまったりする場合もあります。このような患者様がいても、いなくてもすべての患者さまに使用する器具を、常に安心して使えるレベルにするのが、スタンダードプリコーションを採用している理由です。
当医院で行っているスタンダードプリコーションの取り組み
使い捨てにできるのもの(手袋 紙コップ メスの刃 注射針 など)は、使い捨てを採用する。
流水化でしっかり洗うこと。原始的ですがこれが非常に大切です。
洗浄とは
対象物からあらゆる異物(汚染・有機物など)を除去すること(表面に付着した汚れを洗い、すすぐなどして除去する工程)
洗浄の効果と必要性
- 器具に付着した有機物や汚れの残存は化学殺菌物質を非活性化したり、凝固・変性することによって微生物を消毒や滅菌から保護するため、消毒や滅菌が無効になることがある *洗浄なくして滅菌・消毒は完全に行えない
- 滅菌前の汚染微生物数(初発菌数;バイオバーデン)が少ないほど無菌性保障レベルは高くなる
- 確実な滅菌には、滅菌前に十分な洗浄を行い、初発菌数を減らすことが重要
- 洗浄により、機器類の性能の確保および機能の保持が図られる
洗浄後 酵素系洗浄剤に浸漬する。これは洗浄でとり切れなかったタンパク質汚れを強力に分解・除去するものです。
洗浄の項目でも書きましたが、器具に有機物や汚れの残存があると、それが凝固・変性することにより微生物への消毒、滅菌を妨げるものとなってしまうのです。
滅菌
滅菌には、オートクレーブ、酸化エチレンガス滅菌、過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌、化学的滅菌などがあります。オートクレーブは操作性が高く、残留毒性がないため、滅菌条件に耐えられる医療器具 であれば最も安全で確実な滅菌方法として一般的に普及しています。ただし、空気排除を完全に行わないと滅菌不良を起こすため、重力置換式より滅菌の前後で真空脱気を行うプレバキューム式の滅菌器の方が滅菌効果が高くなります。
オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)
当医院で採用しているオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)は、クラスBです。クラスBとは、滅菌前および乾燥時に数回の真空状態を作り出すプレバキューム式。 あらゆる種類・形状の被滅菌物を滅菌できる性能を備えています。
タービンなどの中腔の器具 パックされた滅菌対象物など
その他 クラスS クラスN の滅菌器をそろえ、用途によって付き合分けています。
これは高水準の消毒を行います。
酵素系洗浄再剤に浸漬
ここまでは一緒ですが、その後グルタラールという消毒液に浸漬します。高水準の消毒剤です。 これは、一般細菌 梅毒トレポネーマ 緑膿菌 MRSA 結核菌 芽胞菌 真菌 一般ウィルス B型肝炎ウィルス C型肝炎ウィルス HIV (エイズウィルス) これらすべての、病原となる細菌やウィルスを死滅させます。
これらの滅菌・消毒は、最新の世界基準の器具と、それを取り扱う正しい知識を持って行わないと、得たい効果が得られません。 当医院ではスタッフ全員で、滅菌・消毒に関する勉強会を行い、共通の認識を持って患者様の安全のために取り組んでおります。